農地法5条の許可申請 農地転用と権利移転

今回は、農地法5条の許可申請の手続きについて解説していきたいと思います。

農地法5条という言葉を聞いてもピンとこない方の方が多いかもしれません。

この記事では主に、農地法5条許可の内容、許可が必要なケース、届出で済むケース、無許可転用の罰則、申請時に必要となる書類、許可までの流れなどを簡単にご紹介していきます。

農地法5条許可とは

農地法5条許可:農地を農地以外の転用目的で所有権移転や賃借権設定をするために必要な許可です。

では、どんなケースがこのような状況に当てはまるのか、例を挙げて解説していきます。

①運送会社を経営しているA社は、取引先となる荷主が増えたためトラックの増車をしたいが、駐車場がなく隣の畑となっている土地を買って、駐車場として利用したいと考えている。

②建設業を経営しているB社は、工事の受注が増え現状の資材置場のでは資材が置ききれなくなり、隣の田んぼとなっている土地を借りて、資材置場として利用したいと考えている。

①、②とも農地を転用する目的で土地を使用する権利を得ようとしています。

このような場合、A社とB社は農地の地主さんと売買契約や賃貸借契約を締結し、農地をそれぞれの目的に転用して使用することができるのでしょうか?

答えはできません。

しかし、農地法に定められた許可を県知事(指定都市においては市町村長)に申請し、県知事(指定都市においては市町村長)から農地転用の許可が出ればA社・B社とも使用する権利を得てそれぞれの目的に応じた使用をすることが可能になります。

無許可転用の罰則

許可なく権利移転と転用をしてしまうと3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)に処せられ、契約は無効となり原状回復を求められます。

特例(届出)

全ての農地が転用許可を受けなければならない訳ではなく、「市街化区域」に関しては事前に届出をすれば許可申請は必要ありません。

市街化区域とは

市街化区域とは、

すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域と定義されています。

さらに市街化区域には都市計画法により用途の混在を防ぐために以下の13種類の用途地域が定められています。
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・田園地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域

このように優先的に市街化を図るべき区域となるため、市街化区域にある農地は届出をするだけで転用や権利移転が認められます。

市街化調整区域とは

市街化調整区域とは、

都市計画法に基づき、都市計画区域について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに定める区域区分のうち、市街化を抑制すべき区域として定める区域である。と定義されています。

市街化を抑制すべき区域となるため、市街化調整区域内にある農地は許可という高いハードルが設定されているのです。

市街化調整区域内の転用許可のハードル

農地の種類許可のハードル
農用地区区域✖原則不許可
甲種農地✖原則不許可
第一種農地✖原則不許可
第二種農地△第三種に立地困難な場合等に許可
第三種農地◯原則許可

市街化調整区域の農地に関して許可申請をすれば全て許可されるわけではありません。

市街化調整区域の農地に設定されている種類によって転用許可のハードルが変わってきます。

✖原則不許可が例外的に許可されるケース

  • 公益性のある施設
  • 公用目的等の土地収用
  • 農家本人の農業用住宅(主に4条)
  • 農家本人の農業施設(主に4条)
  • 農産物の直売所   などなど。

これらの場合は農用地区地域からの除外手続きも必要となる場合があるので、転用許可までにかなりの日数を要します。

手続に必要な書類

以下、主に必要となる書類です。
土地の利用状況や権利の設定、土地改良区などによっては提出する書類が増えます。

  1. 申請書
  2. 申請地の登記事項証明書
  3. 図面
    ・位置図
    ・案内図
    ・公図の写し
    ・転用計画平面図
  4. 法人登記簿謄本若しくは定款の写し(法人の場合)
  5. 契約書の写し(賃借権、使用貸借権設定の場合)
  6. 農地復元計画図(一時転用の場合)
  7. 事業計画概要書
  8. 代替性の検討案(主に二種農地)
  9. 資金証明書

手続きの流れ

  1. 農地転用する申請地の現地確認(申請地の現況写真撮影)
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  2. 農地の種類の調査(農用地区区域・甲種・一種・二種・三種)
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  3. 農業委員会に事前相談
    写真や登記簿などで現況確認を行い違反転用や違法建築物などがあった場合は原状回復を求められます。
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  4. 事前相談で問題がなければ書類作成と書類収集
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  5. 書類が出来たら農業委員会の担当者に書類の事前確認をしてもらう
      ⇩⇩⇩
  6. 事前確認で問題がなければ、指定された提出期間内に書類を提出
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  7. 総会を経て許可・不許可が決定

最後に

農地法の目的条文は以下のようになります。

農地法第一条
この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。

簡潔にまとめると、農地を農地以外のものにすることを規制し、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保することを目的として定めており、農地法4条・5条の許可を受けることによって農地を農地以外(農地転用)のものにすることが許されます。

事前相談から始まり書類作成から提出、許可を受けるまで、農地法を理解していない方は、かなり苦労するところではないでしょうか。
更に、申請地の利用計画によっては、盛土規制法・盛土条例の規制にかかり開発許可が必要になる場合も考えられます。
決して簡単な手続きではありません。
毎月1度しかない申請期間に書類の提出が間に合わなければ、予定している土地の利用が遅れてしまいます。

この法律に関する手続きに関わってくる業種の方々は主に「土地家屋調査士」・「司法書士」・「行政書士」・「不動産業」などです。
計画的に手続きを進めていきたい方はプロに頼るのも一つの手です。