
産業廃棄物収集運搬業許可の要件として事業計画書の提出が必須です。県の様式に沿って記載していくのですが、これがなかなか面倒な作業です。
では事業計画書がどんな内容で構成されているのか見ていきましょう。
1.事業の全体計画
2.収集運搬する産業廃棄物の種類及び運搬量等
3.運搬施設の概要
(1)運搬車一覧
(2)その他の運搬施設の概要
(3)積替え又は保管施設の概要
4.収集運搬業務の具体的な計画
5.環境保全措置の概要
(1)運搬に際し講ずる措置
(2)積替施設又は保管施設において講ずる措置
1~5まで、どういった内容を記載していくのか少し細かく解説していきたいと思います。
《他の要件》
産業廃棄物収集運搬業許可 要件(収集運搬施設があること)
産業廃棄物収集運搬業許可 要件(欠格)
産業廃棄物収集運搬業許可 要件(知識・技能)
《産業廃棄物収集運搬業とは》
産業廃棄物収集運搬業許可
1.事業の全体計画
事業の概要として、〇〇年〇〇月に株式会社〇〇〇〇を設立し静岡県中部地域を中心に建設業を主体に事業を営んでいます。今般、株式会社△△△△の委託を受け、同社の静岡県中部の建設現場から排出される産業廃棄物を収集し、株式会社□□□□の市内にある中間処分場に運搬するために申請に及んだものです。
と、会社設立をした年月から、どんな事業を行っていて、どこの会社から委託を受けてどこの中間処分場に運搬するのかといった概要を記載し、営業範囲も静岡県中部などと記載します。
収集運搬する産業廃棄物の種類及び運搬量等
〖1〗産業廃棄物の種類
20種類の産業廃棄物の記載をします。廃棄物によっては石綿含有廃棄物を含む・含まない、水銀使用製品産業廃 棄物を含む・含まない等の記載が必要です。
20種類の産業廃棄物は産業廃棄物収集運搬業許可⇦こちらを参考にしてください。
〖2〗運搬量(t/月又は㎥/月)
上記〖1〗で記載された産業廃棄物を月に何t又は何㎥運搬予定かを記載します。
〈例〉5t/月 又は 10㎥/月
〖3〗性状
上記〖1〗で記載された産業廃棄物の性状を「液状」か「固形状」で記載します。
〖4〗予定排出事業場の名称及び所在地
上記〖1〗で記載された産業廃棄物の予定排出事業場の名称、所在地を記載します。
〈例〉株式会社△△△△ 静岡市駿河区〇〇町〇〇番地 (建設業)
気を付けなければならないのが予定排出事業者の業種を住所の後に括弧書きで記載しなければなりません。
〖5〗積替え又は保管を行う場所の所在地
上記〖1〗で記載された産業廃棄物を積替え又は保管を行う場合はその所在地、行わない場合は「該当なし」と記載します。
〖6〗予定運搬先の名称及び所在地(処分場)
上記〖1〗で記載された産業廃棄物の予定運搬先の名称と所在地を記載します。
ここで記載されるのは処分場の名称となり、原則記載した処分場の許可証の写しなどの提出を求められます。
産業廃棄物の種類 | 運搬量 | 性状 | 予定排出事業場の名称、所在地 | 積替え又は保管場所の 所在地 | 処分先の名称及び住所 | |
1 | 廃プラスチック (石綿含有廃棄物 を含む) | 1 t/月 | 固形状 | 株式会社△△△△ 静岡市駿河区〇〇町〇〇番地 (建設業) | 該当なし | 株式会社□□□□ 静岡市駿河区××町 ××番地 |
運搬施設の概要
(1)運搬車一覧
〖1〗車体の形状
動車検査証等の「車体の形状」欄の内容を記載
〖2〗自動車登録番号又は車両番号
〖3〗最大積載量(kg)
動車検査証等の「最大積載量」欄の内容を記載
〖4〗所有者又は使用者
許可申請者と車両使用者が同一でない場合は、所有者と使用者を記載
〖5〗備考
動車検査証等の「備考」欄に記載されている使用制限の内容を記載
ここでの記載内容は自動車検査証記録事項のとおりに記載します。
車体の形状 | 自動車登録番号 又は車両番号 | 最大積載量 (kg) | 所有者又は使用者 | 備考 | |
1 | ダンプ | 静岡480あ1111 | 350kg | (所有者) 株式会社〇〇〇〇 (使用者) 株式会社◆◆◆◆ | 土砂等以外 |
運搬車両の使用権限(申請者=所有者=使用者)についての解説は産業廃棄物収集運搬業許可 要件(収集運搬施設があること)の『運搬車両の所有者と使用者』で説明しているので産業廃棄物収集運搬業許可 要件(収集運搬施設があること)⇦こちらを参考にしてください。
(2)その他の運搬施設の概要
〖1〗運搬容器の名称
〖2〗用途
〖3〗容器
〖4〗備考
運搬容器の名称 | 用途 | 容量 | 備考 |
フレコンバッグ | がれき類(石綿含有廃棄物を含む。)、廃プラスチック類 (石綿含有廃棄物を含む)、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず (石綿含有廃棄物を含む。) | 1㎥ | 石綿含有廃棄物の運搬時は、フレコン詰め、シート掛け等の飛散防止措置を行い、荷台での転倒、移動防止措置を行う。 |
運搬する廃棄物によっては運搬容器の構造図、写真及び運搬容器が所要の検査に合格したことを示す書類が必要になります。
(3)積替え又は保管施設の概要
積替え又は保管施設がある場合は構造を明らかにする平面図、立面図、断面図、構造図及び設計計算書並びに当該施設の付近の見取り図を添付する。
積替え又は保管施設が無い場合は「該当なし」と記載する。
収集運搬業務の具体的な計画
〖1〗車両の用途
車両ごとにその運搬車両に積載し運搬する産業廃棄物を石綿含有廃棄物を含む・除く、水銀使用製品産業廃 棄物を含む・除く等も含め記載します。
〖2〗収集運搬作業を行う時間
現状の作業時間を記載していきます。通常であれば8時~17時となりますが、夜間での収集作業時間帯が主な場合は20~5時などとし、処分場への搬入は通常の場合も夜間が主な場合も日中となるので「処分場への搬入は契約に基づき指定された時間とします」
〖3〗休業日
土・日・祝。社内で決まっていればGWやお盆休み年末年始などを記載します。
〖4〗収集運搬の方法
・運転手と作業員の配置状況の計画
・排出事業者からマニュフェストを受け取った際の記載事項の照合と確認、運搬車氏名の記入
・処分業者にマニュフェストを引渡しB2票を排出事業者に送付する旨
・産業廃棄物の積込みから処分場への運搬を上記の『2.収集運搬する産業廃棄物の種類及び運搬量等』で記載した内容に沿って適切に処分する旨 等々の記載をします。
〖5〗従業員数の内訳
個人事業主1人で事業を行ている場合は以下のような記載の仕方になります。
申請者又は申 請者の登記上 の役員 | 政令第6条の10で 準用する第4条の7 に規定する使用人 | 相談役、顧問等 申請者の登記外 の役員 | 事務員 | 運転手 | 作業員 | その他 | 合計 |
1人 | (申請者 兼務) 1人 | (申請者 兼務) 1人 | (申請者 兼務) 1人 | 1人 |
環境保全措置の概要
〖1〗運搬に際し講ずる措置
・運搬車両及び運搬容器の事前点検の実施
・過積載になっていないことの確認
・騒音、振動、埃の発生防止
・現場からの泥土の持ち出し防止
・石綿含有廃棄物等の飛散防止措置及び運搬時の転倒防止措置
・水銀使用産業廃棄物の破損防止措置
等々の運搬に際し講ずる措置。
〖2〗積替施設又は保管施設において講ずる措置
無ければ「該当なし」と記載。
まとめ
事業計画に関しては積替保管無しを想定とした大まかな内容5項目を上記で説明させていただきました。
先日、産業廃棄物収集運搬業許可申請の依頼を受けて、書類の作成と提出をしてきました。上記『2.収集運搬する産業廃棄物の種類及び運搬量等』に「石綿含有産業廃棄物」と記載して提出したら正式な言い方は「石綿含有廃棄物」で「産業」は入らないので「産業」の文字を全て訂正で削除してください。と言われ、その場で二重線で訂正することになりました。なかなか細かいところまで見られるなという印象を受けました。
この記事は静岡県の産業廃棄物収集運搬業許可申請をベースに書かせていただいてますが、他の都府県になると多少ルールが違ったり、申請書の記載方法も違ったりするみたいです。
申請日に書類の訂正ですめばいいのですが、要件を証明する必要な書類を見落としてしまっていたり、そもそもの要件を満たしていないまま書類の提出をしてしまうという事になってしまうと、時間と労力を無駄にすることになります。産業廃棄物収集運搬業許可を受けたいという方は、ご当地のルールや許可要件の確認も含めて官公署に提出する書類作成のプロへ依頼して申請をしてもうことをお勧めします。
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