産業廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物収集運搬業許可の要件(経理的基礎)として以下の条文があります。
産業廃棄物処理法規則第10条2号ロ(産業廃棄物収集運搬業の許可基準)
産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経済的基礎を有すること。

 なぜこのような条文で経理的基礎を要件として定めているのかは、最後のまとめのところで触れていきたいと思います。

まずは経理的基礎をどのような書類を提出して認めてもらうのかを、法人と個人と分けて見ていきましょう。


《他の要件》
産業廃棄物収集運搬業許可 要件(収集運搬施設があること)
産業廃棄物収集運搬業許可 要件(欠格)
産業廃棄物収集運搬業許可 要件(知識・技能)
産業廃棄物収集運搬業許可 要件(事業計画があること)

《産業廃棄物収集運搬業とは》
産業廃棄物収集運搬業許可 

法人

 法人の場合は直近3年の各事業年度における貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表並びに法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類を提出します。

貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表は確定申告書に添付して税務署に提出したものと同一のものである必要があります。また、法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類は法人税の納付証明書(その1)とし、電子交付された納税証明書の場合は、交付された納税証明書の一次印刷物を提出することになります。

「ちょっと待って!!!決算を3度迎えてないと産業廃棄物収取運搬業許可は受けられないの?」と思った方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。決算を3度迎えてない法人の提出書類も決まっています。

➀定款で定める第1期の決算期を迎えていないものは、会社法第435条第1項又は第617条第1項に規定する会社設立時の貸借対照表を添付すること。(この場合、法人税の納付証明書の提出は不要です)

②設立年度により3年分の書類が添付できない場合は1年分又は2年分の書類を添付すること(この場合法人税の納付証明書は添付した年数分の提出が必要です)

といったように、設立したばかりの法人であっても経理的基礎を証明することができます。

 この直前3年の各事業年度の経常利益がすべて損失になっている場合は、損失の原因と持続的な経営の見込み又は経営改善の見込みについて記載した経営改善の計画書を添付書類として提出することになります。また、債務超過の場合は中小企業診断士の診断書等を求められます。(設立年度により3年分の書類を提出できない場合(上記➀・②)は中小企業診断士の診断書等の提出は不要です)
また、法人税の未納者については、事業を継続して行うに足りる経済的基礎を有していないとみなされ、納税指導が行われます。


個人

個人の場合は資産に関する調書(省令様式第6号の2第9面)並びに直前3年の所得税の納付すべき額及び納付済額を証する書類を提出します。

所得税の納付すべき額及び納付済額を証する書類は申告所得税の納税証明書(その1)とします。ただし、申請者が直前3年に給与所得者であった場合は所得期間の源泉徴収票や住民税納税証明書を提出する必要があります。
ここで注意しなければならないのは、法人の場合は設立年度により3年分の書類を提出できない場合、提出書類も減ってきますが、個人の場合は3年分を提出しなければなりません。

資産に関する調書において、負債額が資産額に比べて大きい場合は、借入金の返済計画や今後の経営改善に関する計画書を提出することになります。
また、所得税未納については、事業を継続して行うに足りる経済的基礎を有していないとみなされ、納税指導が行われます。


まとめ

冒頭で触れましたが、なぜこのような条文で経理的基礎を要件として定めているのかというのは、経済的に債務超過などに陥っている事業者は収集した産業廃棄物を不法投棄してしまう可能性があるという事です。
誤解を招いてしまうので強く協調しますが、あくまで可能性です。
そういった事態を回避するために、事業内容や経営状況を立て直す事を目的として、経営改善に関する計画書や、中小企業診断士の診断書等の提出が求められているのだと思います。

産業廃棄物を適正に処理し、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として産業廃棄物処理業が成り立っている中で、産業廃棄物収集運搬業を営む事業者が不法投棄をしてしまったら本末転倒となってしまいます。
また、不法投棄をしてしまうと欠格要件に該当してしまいその後数年は許可を受けられなくなってしまいます。

産業廃棄物収集運搬業許可を受けて事業を行っていきたいという方や、許可を受けたいが許可要件を満たしているか分からないなどという方は当事務所にご相談ください。

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