
遺産分割協議とは相続人が複数人いる場合に、全ての法定相続人が参加して相続財産をどのように分けるかを決定する手続きをいい、遺産分割協議書はその決定した内容を書面にしたものを指します。
全ての相続人が遺産分割に同意し遺産分割協議書に署名捺印をして合意の意思表示をします。
人が亡くなり相続が発生すると、亡くなった方の財産につき相続人には原則、法定相続分の割合で相続人同士で共有することとなります。
法律で定められた法定相続分はその相続人が当然に主張できる権利となります。
しかし、「預金よりも土地が欲しい」とか「困ってないので財産はいらない」とか「ずっと亡くなった方の介護をしていたので他の相続人より多く財産がほしい」など、相続人の間でいろいろな主張がでてきます。
そこで相続人らで遺産分割協議を行い分割の方法を決めていきます。
要は遺産分割協議を行い相続人全員が合意をすれば、法定相続分にこだわらずに自由に遺産を分割できという事になります。
遺産分割協議をする期限
遺産分割はいつまでにやらなければいけない。などの縛りはありません。
民法907条第1項に『共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる』としています。
それはそうですよね!相続人が不動産の登記を怠っていたり、遺産分割協議がおわり、何年も経過してから被相続人名義の財産が出てくるということもあります。
亡くなった方が遺言書などで財産を書き記していてくれれば財産漏れの可能性が減るかもしれません。何はともあれ民法ではいつでも遺産分割協議を行うことを認めているので、いつ行っても問題ないですね!
・・・違います!
遺産分割を期間内にやらなければならないケースがあります。
それは、相続税申告が必要な場合です。
相続税申告が必要となったときの『小規模宅地の特例』や『配偶者の税額軽減』などを利用できる場合に限られますが、相続税の申告期限内に申告を行うことによって、控除や税額軽減を受けられるようになります。
相続税の申告期間内とは被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
ということは、10ヶ月を過ぎてしまったらこれらの特例を使えずに相続税を国に納めることになります。
家族が亡くなったら早めに財産の調査を行い相続税申告の有無をはっきりさせた上で、必要なら相続税の申告期間内に間に合うように遺産分割を行いましょう。また、財産の調査方法がわからなかったり、相続税がかかるかどうかグレーの場合は早めに専門家に相談することをお勧めします。。
基本的な基礎控除枠です。
3000万円+(600万円×相続人の人数)
・相続人が3人の場合 3000万円+(600万円×3)=4800万円まではかからない。
・相続人が6人の場合 3000万円+(600万円×6)=6600万円まではかからない。
相続人の人数によっても相続税申告の有無が変わってくるので注意しましょう。
遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書には決まった書き方があるわけではありません。
なので比較的自由です。
しかし、被相続人や財産をしっかり特定させる書き方をして、誰が相続人なのかも明記しましょう。また誰に何をどの割合で取得させるかも明確に記載するようにしましょう。
【例】被相続人の場合
・被相続人の氏名
・死亡した日
・最後の本籍
・最後の住所
【例】財産の場合
◇土地(全部事項証明書)
・所在
・地番
・地目
・地積
◇建物(全部事項証明書)
・所在
・家屋番号
・種類
・構造
・床面積
◇預金
・銀行名
・支店
・預金の種類(普通預金や定期預金など)
・口座番号
分割方法のオーソドックスな例
・「次に記載されてる土地及び建物は、相続人Aが取得する」
・「次に記載されてる預金は相続人A、B、Ⅽが各3分の1ずつ取得する」
このように取得分を明確に記載しましょう。
遺産分割協議書は書き方に決まりはありませんが、しっかりとした内容を書き示しておかなければ、後々のトラブルに発展してしまうので、内容に関しては細心の注意を払うようにしましょう。
また、遺産分割が終わりしばらくしてから被相続人名義の財産が出てくる可能性もあるので、必ず「本協議書に記載されていない遺産及び、後日判明した遺産は相続人たちで別途協議する」などといった文言を入れておくようにすれば後々のトラブル回避になります。
記名押印? 署名捺印?
遺産分割協議書の内容に合意したら、最後は署名捺印をします。
署名捺印と記名押印の違いってなに?と思われた方もいるいるでしょう。
下記に違いを載せておきます。
記名押印 | 署名捺印 |
---|---|
自筆以外の方法で予め名前が記されている書面に印鑑を押す行為。 | 自筆による署名に加えて印鑑を押す行為。 |
法的効力はあるが予め記名された文書のため証拠能力が低い。 | 法的効力があり自筆署名のため証拠能力も高い。 |
社内文書や重要度の低い文書で用いられる。 | 契約書などの重要な文書で用いられる。 |
遺産分割協議書は相続人同士の約束事を記した書類となるので契約書の一種です。
なので署名捺印を求められる書類となり、捺印する印鑑は実印となります。
銀行預金の払戻し手続きや土地の名義変更、そして相続税申告などで公的な機関に遺産分割協議書を提出する際は、相続人全員が署名捺印した遺産分割協議書と、捺印した実印の印鑑証明書をセットで提出して手続きを進めていくことになります。
まとめ
遺産分割協議書は相続人が複数人いる場合に相続手続きを進めていくうえで必要になってくる書類です。
民法ではいつでも遺産分割をすることができると記していますが、相続税申告をしなければならない場合で『小規模宅地の特例』や『配偶者の税額軽減』などを利用する場合は相続税の申告期間(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)に間に合うように遺産分割をするようにしましょう。
また、遺産分割協議書を作成する際は、被相続人や財産をしっかり特定させ、誰が相続人なのかも明記し、誰に何をどの割合で取得させるかも明確に記載するようにし、後にトラブルに繋がるような、どっちとも取れるような曖昧な表現や、意味不明の内容にならないように細心の注意を払いましょう。
財産はどうやって調べるの?
相続人が誰なのか分からない!
どうやって遺産分割協議書を作成すればいいの?
などなど、困っている方は「弁護士」・「司法書士」・「税理士」・「行政書士」などの専門家に相談し、遺産分割協議書の作成や相続手続きを進めてもらうことをお勧めします。
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