
今回は、12年前に亡くなったAの相続登記を12年間そのままにしていた依頼人Zから「相続登記の義務化」が始まったことによって土地の名義を変えたいというご依頼があり、相続人の確定と不動産の調査をした時のお話をしたいと思います。
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この相続案件、相続人がすぐに確定し、楽勝ムードが漂っているなか不動産の調査を進めていくうちに違和感を覚えました。
名寄帳と固定資産評価証明書を取得し、亡くなったA名義の農地11筆・森林1筆・宅地1筆・宅地上の居宅1棟を確認しました。事務所にて、登記事項証明書を取得し、亡くなったA名義の農地11筆・森林1筆・宅地1筆を確認したのですが、宅地上の建物の登記事項証明書を確認したら、A名義で居宅2棟と物置2棟が記載されていました。
急いで依頼人Zに確認をとったところ、今現在も居宅2棟と物置2棟は存在しているとのことでした。
どうゆうことだ?
登記されている建物を市は把握していないのか?
固定資産税の徴収漏れか?
取り壊された建物が登記簿上残っているという事ははよくあることですが、現に存在し登記されている建物が、名寄帳や固定資産評価証明書に載ってないなんてどうゆうことだ?
これ、市が把握していなかったとして、さかのぼって納税しろって言うのかな?などといろいろ考えながら、名寄帳と固定資産評価証明書と登記簿を持参して市役所に行ってきました。
登記簿と市役所の情報の違い。そして相続登記のためにこの登記簿に記載されている建物の評価証明が揃わないと司法書士さんが登記できない。などいろいろ説明し調べてもらった結果、Aの名義で取得した名寄帳に記載のない居宅1棟と物置2棟は相続人Z名義になっているとのことでした。
簡単にまとめると、法務局の登記簿は4棟すべてA名義。市役所の名寄帳・固定資産評価証明書は1棟がA名義、3棟がZ名義。ということです。
A名義の農地 | A名義の森林 | A名義の宅地 | A名義の宅地上の A名義の建物 | A名義の宅地上の Z名義の建物 | |
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名寄帳(市) | 11筆 | 1筆 | 1筆 | 1棟 | Z名義で3棟 |
固定資産評価証明(市) | 11筆 | 1筆 | 1筆 | 1棟 | Z名義で3棟 |
登記簿謄本(法務局) | 11筆 | 1筆 | 1筆 | 4棟 | 無 |
市役所に確認に行ったときには何故こんなことになっているのか理由は分からなかったのですが、後に相続人Zにいろいろと話を聞いていったら、被相続人Aの死後、市役所から固定資産税の支払いは誰がするのか?みたいな通知が届き、Zの名前を書いて出した覚えがある。と言ってました。それにしても市役所は何故建物3棟の名義だけZに変更して、土地と建物1棟の名義はAのままにしていたのかが理解できませんでした。
その後司法書士さんにZ名義の固定資産評価証明と必要書類を届けに行ったのですが「こんなことは稀ですよ。これは普通ではありえないです!」と言っていただきました。
が・・・自分の中で、登記と固定資産評価証明がイコールだという固定観念に縛られていたことに反省し、財産調査の難しさ、奥の深さを痛感して1つ成長することができました!
今回は不動産登記のみの相続手続きでしたが、しっかりと調査して司法書士さんに書類を受け取ってもらえたので一安心でした!
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